戦間期から戦後にかけて、都市が受けた影響に関すると思われる、いくつかの事柄(特に交通を中心として)

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 第一次大戦から第二次大戦の頃とは、車の発達によって、交通のあり方が大きく変化していった時代だった。

  • 第一次大戦の頃までは、鉄道はアメリカにおける陸上交通の王者の位置にあった。しかしそれは、鉄道会社が時に独占的な立場を占めることができたということでもあり、社会から必ずしも好意的な視線で見られていたわけではない(これは他の巨大企業にも言えることではあるが)。こうした状況下では、自動車の登場は、道路さえあればどこへでも行けるという点で、この独占を打ち破ることができると、期待されたのではないだろうか。
  • 第一次大戦によって、自動車が戦争に大いに役立つとわかったため、1919年に米軍は軍用車を使って、アメリカ大陸を横断するという実験を行った。この実験には、後に大統領として、州間高速道路網の成立を後押ししたアイゼンハワーも参加していた。
  • この実験当時、アメリカの道路網はまだまだ未発達だったが、自動車の普及と前後して、改良されていった。こうした改良は、トラックやバスによる輸送業の発展も促し、1927年には、当時急速に発展していたグレイハウンドのバス路線を使って、大陸横断旅行が可能になっている。
  • 自動車、とりわけ自家用車の普及によって、郊外の一戸建てに住み、都心の職場まで車で通勤する生活スタイルも現れてきた。しかしこれは次第に、買い物の場所(後には職場も)が郊外に移る傾向を生み、1922年には、アメリカ最初のショッピングモールと言われるカントリー・クラブ・プラザが、カンザスシティに開業している。
  • 本書の中でも、ニューヨーク市は、1940年代ころから、中産階級を街中に留まらせるために、私有地を市の権限で収容して、その土地に民間の開発会社を使って大規模な住宅プロジェクトを行う事業を始めている。この頃からすでに、中産階級という安定した税収源を失うことを、行政当局が問題視していたということだろう。
  • 第二次大戦が始まると、軍需物資の輸送や、軍需工場への通勤輸送のために、鉄道は再び混雑するようになった。しかしこれは一時的なものであり、戦争が終わるとともに、特に旅客輸送の分野において、鉄道は衰退していく。
  • 戦後、復員してきた軍人たちは、続々と郊外に家を求めた。「ザ・フィフティーズ」で取り上げられたレヴィットタウンの登場も1950年代であり、都市の行政当局にとっては、こういった動きに対抗し、都市をより魅力的に作りなおすことが、よりさし迫った課題として認識されるようになる。

ジェイコブズ対モーゼス: ニューヨーク都市計画をめぐる闘い

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ザ・フィフティーズ〈第1部〉1950年代アメリカの光と影 (新潮OH!文庫)

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アメリカ道路史

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